1.逗子市について
逗子市はわたくしが以前から改革を強力に推し進めていることで
注目していた自治体です。
この春から、全国初、小学1年生全員に防犯ブザーを無償貸与制度
を開始、図書館が遠くて行けない方には、有料ですが本の宅配サー
ビスも開始。市長は当選後「市長の交際費」を全部ホームページ上で
公表、現在は交際費ゼロに。そして日経新聞社が行っている「自治体
改革度ランキング」でも全国で1位などの優秀な成績を納めています。
その改革意欲ぶり、そして市民の目線で、という発想は、逗子市の
ホームページからも充分に伺い知ることができます。
http://www.city.zushi.kanagawa.jp/
そうした中で、今回のわたくしの視察は市議会総務委員会の一員と
してのものでありましたので、研修項目は表記「すぐやるコール」の
取り組みについて、委員長に要望を出しておいたところ、これが
採用となりました。
本題に入る前に、逗子市のホームページから入っていける「市長の
メッセージ」の中に、ちょうどこの制度に対するコンパクトな市長自ら
が語られるコメントがありましたので、勝手ながらリンクさせていただ
こうと思います。
http://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/mayor/report/report.htm
ここに書かれているとおり、かつて流行?した「すぐやる課」などの
反省も踏まえ、あくまで市民の目線市民の生活の立場というところに
主眼をおき、展開されているこの制度は、わたくしには非常に魅力的な
ものに感じられるのです。
なお、逗子市に魅力を感じるもうひとつのこととして「経営戦略ブック」
というものがあります。
あらかじめ逗子市当局にお願いしておき、資料だけ、わたくしどものた
めに準備をしてもらい、こちらに帰ってからあらためてその内容を拝見
しました。
このことを、この文章の最後に付け加えさせていただこうと思います。
2.視察の内容
逗子市のキャッチフレーズとして、ミニFM局でも毎朝11時、市の
番組の始まりで「すぐやるコールの逗子市です!」と放送しているくらい
の熱の入れよう。
ホームページにも市民の声を「すぐやるコール」に直接届けるための
入力フォームが準備されているだけでなく、寄せられた市民の意見・
要望・苦情などがその後どのように処理・対応されていったのかも、
すべてリアルタイムでHP上で追跡できるようになっています。
迅速な対応、情報共有による市民の安心。これらには、ひとつひとつ
の難問を解決したというだけにとどまらない、逗子市役所の「市民満
足」にとことんこだわる姿勢が垣間見えると思います。
さて、市役所の玄関を入り、すぐ目に飛び込むのがこの看板。
市役所ロビーに、コーヒーショップがあるのです。
お聞きすると、すでに14年前から、市内の知的障害者の方たちが
ここでパンやコーヒーを販売しているとのこと。
その先進性に、ちょっと圧倒された心地です。
さて案内されて訪れたのは、市民からの電話での苦情や要望を受
けとめる「すぐやるコール」の現場。ここで電話が受け取られます。
公聴課の奥に準備された狭い一室。この時刻も、担当者が電話の
声に真剣に対応していました。
市民に大々的にPRしているようで、こんなステッカーが貼ってあり
ました。
この電話番号「8156」は「はいコール」、FAX番号「3219」
は「見に行く」という気持ちが込められているゴロ合わせだそうです。
このマグネットシートの寸法はタテ30cmヨコ50cm。公用車に貼って
走ります。
市民からの受付は、ここへの直通電話のほか、FAX、Eメール、そ
して直接窓口対応も行います。
受け付けられた案件はすぐに、
⇒担当部課の次長に連絡。(連絡フォームも、いただいてきました)
⇒担当から市民に連絡を入れ、くわしく聞く。
⇒時間がかかる案件については、1週間単位ですぐやるコール担
当である「広報公聴課」に経過を報告する。このことで、投げっぱ
なしにならなくてすみます。
⇒途中経過、事案の完結、いずれも広報公聴課からHP上で公開。
本人のみならず市民の皆さん全員が、経過を見守り、参考にする
ことができます。
相談の対象は原則として「市に関わる業務のみ」。
しかし、お尋ねすると、たとえば市に関係ない「県道のことについて」
だとしますと、市役所から文書で県土木事務所に申し入れ。現場立ち
会いは県、市、市民の3者が立ち会いをするのだそうです。これこそ、
わたくしが常々述べている理想の姿です。
市民と市民との間のことについても、根気よくその旨説明をするのだ
そうです。
あくまで「市民からの信頼を深める」ことを目的とし、要望先がわから
ない、たらい回しにされる、という市民の不満を払拭することに主眼を
おいたそうです。
先に紹介した市長の「総括」のページにもありますが、その施行当初
の予想としては「これで、市長への直接要望の件数も少しは減るだろ
う」と見込んでいましたが、そうはならなかったそうです。
「市長への手紙」のコーナーには相変わらず年平均約400件の市民
からの声が届きます。
このことを市は、「これまで声にならなかった市民の声や要望が、この
制度で捉えることができるようになった」と結論付けています。
この前向きな姿勢。
一方、これからの課題もあります。
@特定の部署に要望事項が偏る、ということ。
A予算と人との確保が必要、ということ。
市としては「職員半減化計画」を実行中で、職員の手配がままなら
ない。また、相次ぐ台風被害で、16年度1000万円の補正を要求
するなど、予算的にも苦しい、とのことでした。
B市民からの声の中には「あきらかに、それは市の仕事ではないだ
ろう」と思われるものもある。「何でも市に言えばいい」という風潮が
ある、とのことです。
さて、相談案件のその後の処理状況は、HP上に次のように公表され
ています。
http://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/kouchou/soudan0507.html
これは、今年の07月分の受け付けと処理状況の例。ほぼ毎日更新す
るのだそうです。
この制度が始まったのが昨年5月。昨年度11ヵ月の統計しかまだあ
りませんが、11ヵ月で受理件数は532件。うち市に関係するものは
450件で84.6%、あとは県道のこととか、いわゆる民民の問題です。
ほかに解決までに要した日数や、カテゴリー別、所管別の統計もい
ただきましたが、ここでは略します。ただ、解決までに要した日数では、
「1日以内」が50%、「1週間以内」では70%を占めていることのみ、
特筆しておきます。
月別に見ると、5月スタート以来徐々に件数は減少。しかし本年2月、
再度市民にチラシでアピールしたところ、再度件数が上昇した、とのデ
ータがあります。やはり啓蒙PRし続けることが大切です。
このチラシもいただいてきました。これまでの実績を紹介した詳しい
チラシ。逗子市では、これを年2回、ネット閲覧できない方への配慮も
含め、全市民に届けるそうです。
3.「経営戦略ブック」について
「これからの逗子をどうするのか」と、大きく表紙に書かれた「経営戦
略ブック」。
02年に発表、3年間の計画が示されたもので、今回わたくしたちが
いただいたのは、この第1期を終えての報告書。そして第2次として
05、06年2ヵ年の計画書。そこには「逗子から日本を変えよう!」との
スローガンが踊っています。
まず第1次版の総括を見ると、「第1章 パートナーシップ」「第2章
教育」「第3章 環境」などとして、項目別に、これまで3年間の取り組み
結果が「達成した」「ある程度達成した」「あまり達成できなかった」に
区分されて評価されています。
A4サイズ8ページ建て。具体的なタイトル別に、総括記事が載せ
られています。
次に第2次版を見ると、これまで3ヵ年の総括に基づき「継続課題」と
されたのが「教育」「環境」「経営」の3項目。そして新たな課題として
「文化」「健康」「危機管理」の3点が選ばれました。以上6点について、
それぞれ具体的な達成目標が掲げられています。A4サイズ15ページ
建て。
例示しますと、
○職員半減化構想では、H17年4月424人⇒H19年4月406人
人件費の抑制では、H16年度末に対してH18年度末で1億4200
万円の削減
○すぐやるコールの利用促進では、H16年度533件⇒H18年度
600件
○成果主義の人事評価で、部長のボーナス格差、H16年度12万円
の差⇒H18年度40万円の差
教育部門でもおもしろいものがあります。
○保護者との面談の充実として、面談回数をH16年度年1回⇒H18
年度年3回
○外部専門家による授業評価、H16年度年1回⇒H18年度年3回
きりがありませんので、あとは本体の方をご参照下さい。pdfですので
少し時間がかかります。
http://www.city.zushi.kanagawa.jp/syokan/hyoka/2senryakubook.pdf
思えば、このHPの発表が7月11日とありますので、わたくしどもはその
数日前に、出来たての最新版を先に頂戴したわけですね。ありがとう
ございました。
4.終わりに
これを書いている時点(05.08.01)で、国では郵政民営化のことで
国論2分の最大のヤマ場を迎えています。
今日も今日とて、夜、ある保育所での集会にお邪魔してきました。
保育所行事に同保育所の遊戯室でなく、市の「まなびらんど」を使わ
せてほしい、という保護者たちと市側との話し合いの場でした。
こうして逗子市を訪問して1ヵ月足らず。そして合併から4ヶ月が経ち
ました。わたくしは、この時期に、もう待ったなしの改革が始まっている
と見ています。
今夜の保育所での話し合いは、わたくしには、単に会場を貸せ、貸さ
ないの議論ではなく、市民の声がひたひたと、行政に打ち寄せ、行政を
動かしている、そんな時代の流れを目の当たりにしているようでした。
わたくしは保護者の一員ではありませんでしたから、発言は控えさせ
ていただきましたが、市民の皆様に訴えたいことはたくさんあります。
こうして逗子市の視察報告をさせていただきつつ、その思いは高まり
ます。
そしてまた今日も今日とて、昼には市議会行財政対策特別委員会が
開催され、一員でないわたくしも後ろの席で傍聴させていただきました
が、席上、市長が「このままでは丸亀市も再建団体になる」旨の発言が
なされました。
一方、本日発行の「広報まるがめ」8月号はご覧になりましたか?
随所に「市民参画」の動きが見てとれるでしょう。
丸亀市も、改革に向けて動き、そして最重要な点である「市民参
画」ということに関しても、具体的な動きが始まりました。
まだまだ足取りが遅いかもしれません。
しかし、こうして逗子市の視察報告を書いているわたくしは、はやる
気持ちでいっぱいです。
どうか市民の皆様、市政に関心を持ってください、
そして市議会にご注目ください。
こうした先進都市の取り組みを学びながら、いつか必ず、丸亀市を
他市が学ぶときが来る、そう確信し、構想をいだいて議員として仕事を
させていただいてまいります。
皆様のご意見をさらに頂戴してまいります。